一つメッセージ、「春の来ない冬はない」。そして卒業おめでとう。君たちがやがてスマホやPCを持ったら、もしかすると、このホームページに訪ねてくる事があるかもしれない。その時、君がどんな心でいるのかは、まるっきり予想もできない。人間て、自分の小さい頃の写真を見たり、誰かが映してくれたビデオを見たくなったりする時があるよね。将来、アルバムなんかを見たりしながら、一人で「へー、俺ってこんなだったんだ」「あれまー、私って結構いい線いってたじゃん」なんて、誰もいない部屋でしゃべっていることだってあるかもしれない。もしかしたら、一人で懐かしさのあまり涙ぐんでしまう、なんてこともあるかもしれない。今よりももっと思考が発達し、もっと色々な体験や人間関係の嬉しいことや悲しいことなんかを経てゆくと、自分の将来や、やりたいこと、なりたいこと、自分ができること、出来ないことなんかをあれこれ考えあぐねたりするかもしれない。そんな時って誰でも心の中は不安でいっぱいになって、いたたまれないような気持ちに陥る事もある。でもそれは君だけのことじゃない、みんなそうなんだ。

 文明の発達で色々な知識が君らの頭の中に洪水のように流れ込んできて、結果、君らの頭には昔の人に比べてよっぽど多くの知識や情報が入っている。そのぶん悩みも複雑で、それぞれの人毎の悩みは数え切れないほどになってきているのではないかと思います。でも、大昔の人と現代人で考えることは違っていても、共通項はただ一つです。それは「どうやって生きるか」ということに尽きます。人間の悩みのほとんどは、究極的には、ここを根源としているのではないでしょうか。

 若い人たちの間で「自分探し」なんて言葉が流行っていて、今の人達は、みんなそれを探しているみたい。でも、それってちょっと変に思える。自分だけの意見、自分だけの考え方、それを「個性」、つまり「自分」だと思っているみたい。テレビでウケばっかり考えている芸能人の見過ぎなんじゃないかと思う。突拍子もないことを言ったり、人と違うことをやって目立ちたがったり、わざとつっぱってみたりすることを個性だと思うのは大間違い。普通に生きている人達も、十分個人として生きていて個性的です。遺伝子も指紋だって、あなたに代わるものは誰もいません。あなたはあなたしかこの世に住んでいないのです。ほら十分個性的でしょ。これ以上の個性が他にありますか?もともとある自分を「ないない」と言って探すのは矛盾しているように思う。君らもやがて、そんなことで悩むことがあるかもしれない。自分は自分でつくり続け、そして変わり続けてゆく。人間は死ぬまで変わり続ける、すごく流動的なものです。だから過去の自分なんてあってないようなもの。雲をつかむような話です。人の細胞は3年あればほとんど作り変わり、入れ替わってしまう。そう考えたら、昨日の自分だってもう同じ自分じゃないのかもしれない。そんなことより、しっかり勉強したり、しっかり何かに打ち込んだりした方が自分を探せるかもしれませんよ。

 答えは簡単ではありませんが、もしここに訪ねてきた時に君が落ち込んでいたら、何かの手がかりになれればいいなと思いながら書いています。人生に正解はない。成功、失敗などという他人の目や言葉は気にしない。そして、あまり極度に人と比較しない。時々チラッと見るくらいでいいんじゃないかな。そうしないと疲れちゃう時も来ると思うよ。

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